2022 年 11 月に OpenAI がリリースした ChatGPT の影響で、「AI ライティング」への興味関心が爆発的に広がった。
ChatGPT と同等の Davinci モデルを採用したライティングツールが続々とリリースされており、WordPress 公式ディレクトリにも AI ライティング関連のプラグインがいくつか登録されている。
本記事では、2023 年 2 月時点で最もダウンロード数の多い「GPT AI Power」という WordPress プラグインの使い方と注意点を解説する。実際に生成した記事のサンプルを掲載しているので、どのくらいのものが書けるのか、精度も確認してみよう。
ご紹介しているプラグインは定期的にアップデートされており、名称も「GPT AI Power」から「AI Power: Complete AI Pack」に変更されています。
UI や仕様が本記事の解説と一部異なる場合がありますので、ご了承ください。
GPT AI Power を使う前の準備
「GPT AI Power」は、OpenAI の API を利用する。API 利用申請はあとからでもよいので、アカウントをまだ持っていなければ先に作成しておこう。
ChatGPT ログイン画面 で「Sign up」を選択。
![ChatGPT ログイン画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/chatgpt-signup.png)
メールアドレスを入力するか、Google または Microsoft のアカウントでシングルサインオンすれば完了だ。
![OpenAI アカウント作成画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/openai-create-account.png)
これで ChatGPT が使えるようになった。まだ触ったことがなければ実際に試してみてほしい。
なお、ChatGPT は今のところ無料で使えるが、API の利用は従量課金制となっている。クレジットカード登録などは不要で、初回登録時に 18 ドル分のクレジットがプレゼントされる(3 ヶ月間有効)。試用するには十分すぎる量で、設定にもよるが 100 記事ぐらいは生成可能だ。
GPT AI Power インストールから初期設定
OpenAI アカウントを作成したら、WordPress に「GPT AI Power」をインストールして設定を済ませよう。
インストール&有効化
まず、WordPress のプラグイン新規追加画面で「GPT AI Power」を検索し、インストールする。
![GPT AI Power 検索・インストール](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/install-gpt-ai-power.png)
有効化後、「Never miss an important update」画面が表示される。セキュリティや機能のアップデート通知をメールで受け取るか、の選択だ。
試しに使うだけなら「スキップ」で問題ない。
![Never miss an important update](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-optin.png)
AI Engine 設定(API キー取得)
通知の可否を選択後、「AI Engine」設定画面が表示される。各項目の詳細は下表のとおり。
設定項目 | デフォルト値 | 意味 |
---|---|---|
Model | text-davinci-003 | AI モデル。「davinci」が最も高性能 |
Temperature | 0.7 | ランダム性。「0」にすると毎回同じ文章を生成 |
Max Tokens | 1300 | 最大トークン数 |
Top P | 0.01 | ランダム性。Temperature はデフォルトにしておき、ここで調整するのが推奨されている |
Best Of | 1 | 生成した文章から最良の結果を返す値 |
Frequency Penalty | 0.01 | 同じ単語の生成頻度 |
Presence Penalty | 0.01 | 同じトピックの生成頻度 |
各数値は何度か記事を生成して微調整する必要があるので、ここではデフォルトのままにしておき、API キーのみ設定しておこう。
右下の「Get Your API Key」をクリック。
![GPT AI Power Get Your API Key](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-ai-setting.png)
OpenAI のサイトが別タブで開かれるので、「+ Create new secret key」をクリックしてシークレットキーを生成する。
![OpenAI シークレットキー生成](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/openai-new-secret-key.png)
表示されるシークレットキーをコピーしよう。
![OpenAIで生成したシークレットキーをコピー](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/openai-copy-secret-key.png)
WordPress 管理画面に戻って「API Key」欄にシークレットキーを貼り付け、「Save」をクリック。
![GPT AI Power APIキー設定](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-save-key.png)
これで API キーの設定は完了だ。
Content 設定
次に、上部タブの「Content」を選択し、コンテンツ設定をしておく。
ここは大元の設定となり、コンテンツを自動生成するさいに個別設定できる。ひとまず Language 欄を「Japanese」にしておけばよい。
![GPT AI Power Content設定画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-content-setting-992x1024.png)
各設定項目の内容は下表のとおり。
設定項目 | 内容 |
---|---|
Language | 出力言語選択 |
Writing Style | コンテンツの文章スタイル |
Writing Tone | 文章のトーン(説明的、感情的など) |
Number of Headings | 見出しの数 |
Heading Tag | 見出しタグ <h1> ~ <h6> |
Modify Headings | 見出しを調整するか |
Add Image | 画像生成(DALL-E モデル) |
Add Tagline | タグライン生成 |
Call-to-Action Position | CTA の位置 |
Add ToC? | 目次を生成するか |
Add Introduction | 導入文生成 |
Add Conclusion | 結論生成 |
「Writing Style」と「Writing Tone」は、実際に生成して確認してほしい。最初はデフォルトのままでよいだろう。
AI によるコンテンツ自動生成の設定は以上で完了だ。
GPT AI Power コンテンツ自動生成方法
それでは、実際に AI に記事を書いてもらおう。
Content Writer で下書きを作成
管理画面左にある「GPT3 AI Content Generator」から「Content Writer」に移動する。
![GPT AI Power Content Writer 画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-content-writer.png)
タイトル欄に記事タイトルを入力し、「Generate」ボタンをクリック。
![GPT AI Power 記事生成](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-content-writer-overview.png)
サンプルとして「NFT とは」という記事タイトルにしてみた。あとは生成完了まで放置しておけば OK。なお、サンプル記事は 3 分ほどで生成された(見出し 5 個で設定)。
![AIによる記事生成中の画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-content-writer-sample.png)
生成後、「Save Draft」をクリック。
![GPT AI Power コンテンツ生成完了画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-ai-save-draft.png)
投稿編集画面で最終調整
「Save Draft」クリック後、おなじみの投稿画面に移行する。ブロックエディターの場合はクラシックブロック内に生成した文章がコピーされているので、ブロックに変換しておこう。
![AI記事がコピーされた投稿編集画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/ai-writing-content-draft.png)
あとは必要に応じて見出しや装飾を整え、パーマリンクやアイキャッチ画像などを設定して完成だ。
補足:生成時にエラーが出た場合の対処法
サーバーによっては、コンテンツ生成時に以下のエラーが表示され、ストップしてしまう。
It appears that your web server is currently configured to timeout after 1 minute. Therefore content generation process is stopped. We recommend contacting your hosting provider and asking them to increase the timeout limit.
![GPT AI Power コンテンツ生成時のエラー画面](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/gpt-ai-power-ai-error.png)
この場合、サーバーの php.ini 設定にある「max_execution_time」を「0」にすると解消できる。
![max_execution_time 設定](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/max_execution_time.png)
サーバー側で設定できない場合は、プラグインの「Max Tokens」や「Number of Headings」を少なくして調整しよう。
GPT AI Power で生成した記事サンプル
ほぼデフォルトで生成した記事
設定解説のためにサンプルとして生成した実際の記事が、以下である。
「それっぽい文章にはなっているが、記事としての完成度はかなり低い」というのが率直な感想だ。似たような言い回しが何度も出てくるし、表現を変えて同じ内容を繰り返しているだけの部分もある。
大まかな設定は以下のとおり。ほぼデフォルトのままだ。
項目 | 設定 |
---|---|
Writing Style | Blog |
Writing Tone | Formal |
Number of Headings | 5 |
Heading Tag | <h2> ※調整なし |
Add Introduction | あり |
Add Conclusion | あり |
Temperature | 0.7 |
Max Tokens | 1300 |
Top P | 0.01 |
Frequency Penalty | 0.01 |
Presence Penalty | 0.01 |
サンプル記事を書くのにどのくらいかかったのか、コストを試算してみよう。
生成文字数 | 2,922 |
調整後の文字数 | 1,538 |
トークン使用量 | 4,378 |
コスト | 0.087 ドル(0.02 ドル / 1,000 トークン) |
Davinci モデルで約 3,000 文字の日本語記事を書くのに 11 円ほどかかった計算になる。クオリティの是非はともかく、1 回あたり 10 円前後で遊べるならお手頃ではないだろうか。
設定によってトークン使用量は異なるため、実際にさわって確かめてみてほしい。
設定変更した記事のクオリティ比較
参考までに、同じタイトルで Content 設定のみ変えた記事も生成してみた。どちらも段落箇所のみ調整し、文章は削っていない。
設定は以下のとおり。
設定項目 | パターン A | パターン B |
---|---|---|
Temperature | 0.7 | 1 |
Max Tokens | 1300 | 1300 |
Top P | 0.1 | 1 |
Frequency Penalty | 0 | 0.5 |
Presence Penalty | 0 | 0.5 |
自分好みの文章が生成されるよう微調整を繰り返すことになると思うが、完璧に調整したとしてもそのまま世に出すのはためらうレベルだと思う。
コンテンツ自動生成の注意点
AI が書いたコンテンツは見抜かれる
それなりの文章を生成できたとしても、AI によって書かれたかどうかはほぼ見抜かれる。
NFT のサンプル記事を AI Text Classifier でチェックしてみたところ、「The classifier considers the text to be likely AI-generated.(テキストが AI によって生成された可能性が高いとみなします)」という判定になった。
![AI Text Classifier "The classifier considers the text to be likely AI-generated."](https://reinx.jp/wp-content/uploads/2023/02/ai-text-classifier.png)
GPTZero でも同様の結果となっている。
コンテンツを生成する AI は今後も進化していくと思うが、同じく AI コンテンツ検出ツールも進化していくので、どんなに精度が高くても「自分が書いた」とは言わないほうがよいだろう。
検索でペナルティが課せられる
人間が見て不自然と感じる文章であり、ツールでも見抜かれるクオリティであれば、検索エンジンも同じように判定できると考えてよい。
価値がないと判断されると、スパムとして検索評価に悪影響を及ぼすことになる。
AI や自動化は、適切に使用している限りは Google のガイドラインの違反になりません。検索ランキングの操作を主な目的としてコンテンツ生成に使用すると、スパムに関するポリシーへの違反とみなされます。
AI 生成コンテンツは Google 検索のガイドラインに抵触しますか?
AI で自動生成したコンテンツを繰り返し投稿していると、ブログ全体の検索評価が下がり、インデックスすらされない状態になるだろう。最悪の場合、ドメインごと捨てるしかなくなる。
「AI にまかせておいて寝てるだけでウハウハ」ということにはならないから、くれぐれも注意してほしい。
GPT AI Power の活用方法
「GPT AI Power」を含め、AI によるコンテンツ自動生成ツールがまったく使えない、ということではない。活用方法をいくつか見ていこう。
01. ブログのネタ候補として使う
なかなかブログのネタが思いつかないとき、アバウトなキーワードで記事を生成すれば、そこから新記事のヒントが見つかるかもしれない。
「GPT AI Power」を使うときは、「Top P」の値を大きめにしてランダム性を高くするとよいだろう。
02. 記事のベースとして使う
キーワードが決まっており、そのキーワードでどのような記事を書けばよいかイメージがわかないとき、自動生成されたコンテンツでおおよその方向性がつかめるかもしれない。
ただし、コンテンツの正確性が保証されているわけではないし、部分的に言い回しを変えるような使い方だと検索評価に響くおそれがある。
「その分野に関して正しい知識を持っており、方向性さえ決まればゼロから記事を書ける」なら問題ない。「まったく知識がなく、本やサイトを参照しなければ書けない」なら、AI の使用はおすすめしない。
03. クオリティの確認に使う
サンプル記事を見てわかるとおり、AI が生成した記事はまだまだクオリティが低い。
AI が書いた記事と自分が書いた記事を客観的に比べ、最低限のクオリティに達しているかをチェックしてみると、ライティングスキル向上につながるかもしれない。
自分では比較できないとき、だれが書いたか明かさずに第三者に両記事の感想をもらうのがよいだろう。AI 記事のほうが評価されるようなら、まだ学ぶべき点がたくさんあるということだ。
04. 確定的な内容など部分的に使う
明確な答えがある情報は、だれが書いても同じような内容になる(WordPress のシェア率など)。
そうした確定的な内容をコンテンツの一部に入れる場合、その部分だけ AI に任せるというのもよいだろう。
前述のとおり正確性が保証されているわけではないから、ファクトチェックはしっかり行ったほうがよい。あくまで作業の負担を軽減するためのツールと考えてほしい。
GPT AI Power まとめ
「GPT AI Power」は、コンテンツ自動生成のほか「Google Keyword Research Generator」などのツール、ChatGPT を利用したチャットボット機能もある。
有効活用できれば、ブログ運営にかかる時間は今までよりぐっと少なくなるだろう。
「AI を使えば自分の知らない分野にも参入できる」と安易に考えないよう注意してほしい。その分野に精通していなければ正確性もクオリティもわからないから、まずは自分でしっかり勉強し、そのうえで AI の活用方法を考えていくのがおすすめだ。
プラグイン名 | GPT AI Power |
---|---|
価格 | 無料 |
公式ディレクトリ | https://ja.wordpress.org/plugins/gpt3-ai-content-generator/ |
記事執筆:瀬尾 真
Web 業界歴 20 年の知見と経験をもとに、初心者でも楽しくブログ運営に取り組んでいただけるよう、WordPress や SEO のノウハウを提供しています。Twitter では最新ニュース・小技集を配信中。
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