ブログのアクセス数を伸ばしたいならキーワード選定が重要、という話を何度も聞いていると思う。
よく使われている手法は、「ラッコキーワードで抽出してキーワードプランナーでボリュームを探る」というもの。
【入門編】SEO対策に必須のキーワード調査方法を無料ツールで実践します | 株式会社LIG(リグ)
しかし、あれこれノウハウを読んでみてもいまいちピンとこないはず。
それは当たり前で、そもそも検索ボリュームや検索ヒット数といった数字だけで最適なキーワードを選定する、なんていうのが土台無理な話。ほかにもっといろいろな角度から調査しなければならないし、最終的にはある程度の経験値がものを言う。
では、ブログ初心者はキーワード選定すらできず、いつか飛び立てると信じてずっと滑走路を走り続けなければならないのだろうか。
いや。実のところ、初心者でも簡単に実行できる方法がある。
これからその手法をお伝えしていくが、あくまで滑走路から飛び立つきっかけにとどめておいてほしい。
とくに何も考えず、ただ手順に従うだけのノウハウだから、おそらくあなたの経験値はプラスにならない。また、この手法だけに頼ってブログを育てていっても、いつか頭打ちになる。
以上を念頭に置いて、さっそく禁断のノウハウを見ていくことにしよう。
初心者にも実行できるキーワード選定の概要
少しあおってみたが、このノウハウは世間一般に公開されていない特別なものではなく、大手 SEO 業者も取り入れているメジャーな手法だ。
端的にあらわすと、以下のとおり。
冒頭でふれた「ラッコキーワードで抽出して―」という方法は、そのキーワードで上位表示できるかどうかわからない、という弱点がある。
「まずは検索ボリュームが少ないところを狙う」と教える人もいるが、検索ボリュームと検索上位難易度は比例しない。また、キーワードプランナーの競合性も参考にならない。あれは広告出稿のための参考値だ。
さらに、何らかのキーワードを見つけたとしても、それをどうやって使えばよいかわからない、という悩みも出てくるだろう。タイトルに入れるだけでよいのか、見出しにも入れたほうがよいのか……。
その悩みにぶつかるのは、あなただけではない。キーワードありきでスタートすると、ほとんどの人はこうなる。
こうした問題を一挙に解決したいなら、キーワードを選定するのではなく、「選定されたキーワード」を使うしかない。
選定されたキーワードとは
「選定されたキーワード」を言い換えると、次のようになる。
あなたのブログと同じジャンル・同じレベルのブログが検索上位に入っているキーワードをそのまま使う
要は、売れている商品とその売り方がわかればだれでも再現できるよね、ということだ。このノウハウを使うメリットは以下のとおり。
もちろんデメリットもある。
そのため、繰り返しになるが、あくまで滑走路から飛び立つきっかけにとどめておいてほしい。
それでは、手順を具体的に解説していく。
最適なキーワードを見つける手順
最適なキーワードは、たった 3 ステップで見つけられる。
- 検索上位に入っている初心者のブログを探す
- そのブログが検索上位に入っているキーワードを調べる
- そのキーワードで検索上位に入れるか調べる(省略可)
なお、無料ツールでもそこそこはいけるが、月に数百円課金すればさらに詳細な情報を入手できる。その程度なら無理なく回収できるのではないだろうか(大手 SEO 業者は数十万円かけている)。
もし SEO 集客をメインに考えているなら、Twitter Blue に課金するよりよほど有益だと思う。
STEP 1. 初心者のブログを探す
まずは、あなたのブログと同じジャンル・近いレベルのブログを探してみよう。何らかの数値で判断するのではなく、感覚的に判断してかまわない。
以下のどちらかで見つかるはずだ。
- 複数のキーワードで順位が近いブログ
- Twitter でアクセスや収益情報を出してしまっているアカウント
特化でも雑記でも、知らないうちに複数のキーワードで順位争いしているブログが必ずある。キーワード A では勝っているけど、キーワード B では負けている、という状況になっていないだろうか。
たとえば Reinx では、エックスサーバーのサブディレクトリメディア「初心者のためのブログ始め方講座」といくつかのキーワードでバッティングしている。
こうしたブログは、勝手にライバルとしてベンチマークしておく。
ライバルは多ければ多いほどよい。それだけ使えるキーワードが増えていくから、時間の許すかぎり調べてみよう。
まだどのキーワードでも検索上位に入っていないなら、Twitter で Search Console のキャプチャなどをさらしているアカウントを見つければよい。
「#ブログ初心者」などで検索すると大量に出てくる(あなたもうれしさのあまり公開したことがあるかもしれない)。
なかには初心者と偽っているアカウントもあるようだが、そんなことは気にせず片っ端から探っていってかまわない。
上図ツイートはトレンド系ブログの Twitter アカウントで、あなたも近いジャンルでトレンド系ブログを運営しているならライバルとなる。トレンドではないしジャンルも全然違う、という場合は対象から外す。
「大量のアクセス数が見込めそう」という理由だけで、自分のブログとかけ離れたブログを追いかけないよう注意してほしい。
特化だろうと雑記だろうと、まったく興味のない不得手なジャンルに取り組む時点で負けは確定しているのだから。
STEP 2. 調査対象ブログのキーワードを調べる
続いて、STEP 1 で見つけたライバルブログがどんなキーワードで検索上位につけているかをツールで調べる。
Ubersuggest で「キーワード流入」を選択して調査対象ブログの URL を入力すれば、ずらっと出てくる。
無料版だと検索ボリュームなど具体的な数値は 20 件分しか表示されないが、その数字はまったく気にしなくてよい。
ツールでひっかかるページは、それなりの順位に入っていて、ある程度の流入が見込めるからだ。
「検索ボリューム 1000 前後を狙って―」などのノウハウが頭から抜けていないなら、今すぐここで消去しておこう。
どうしても数値が気になるなら課金すればよいが、Ubersuggest ではなく ラッコキーワード のほうが安いし使いやすいと思う。月額たった 440 円(※ 年間契約の場合)でこれだけのデータが出てくる。
どのツールを使うにしても、検索ボリュームや流入見込みなんていう数字は推測にすぎず、ほとんどは Google のデータを使っている(ラッコキーワードはキーワードプランナーの数値そのまま)。
実際に書いてみないとわからない部分が多いから、調査対象ブログが検索上位につけているキーワードで記事を書いてどのくらい流入があるものなのか体感してほしい。
STEP 3. キーワードで検索上位に入れるか調べる
調査対象ブログは感覚で探してよいが、そのキーワードで本当に検索上位に入れそうか、少し調べておこう(面倒ならこのステップは飛ばして記事を書きまくっても OK だ)。
と言っても難しいことはなく、キーワードツールが無料で提供しているブラウザ拡張機能で数値をざっと見るだけだ。
他人のブログのアクセス数・被リンクを調査できる分析ツール 5 選
たとえば Moz の拡張機能を入れて「tillet 口コミ」で検索すると、2 位に明らかに数値の低いブログが入っているのがわかる。
PA:ページ単位のスコア
DA:サイト全体のスコア
7 ~ 10 位あたりのブログも同様。サイトアイコンが Cocoon デフォルトであったりと、検索結果だけ見てもレベルはそう高くないことがうかがえる。
PA や DA というのは、Google の評価ではない。各ツールが「被リンク」をベースに独自にスコアリングしているものだ。
PA や DA があまり高くない(10 以下)サイトが検索上位に並んでいる=そのキーワードでは今のところ被リンクはそれほど強く影響していない、ということ。
あなたのブログと近いレベルのブログが複数検索上位に入っているキーワードなら、積極的に狙っていこう。
ex. コンテンツギャップ調査
特化ブログを育てていく場合、そのジャンルに関連する重要なトピックをおさえておくべきだ。
たとえば「WordPress」の特化ブログなら、以下の 3 つが重要なトピック(軸)となる。
- テーマ
- プラグイン
- サーバー
具体的にどのような記事を書いていけばよいのか知りたいなら、コンテンツギャップを調べてみよう。
「ライバルブログは上位につけているけど、自分のブログは順位が低い(または書いていない)キーワード」のことだ。
簡易的なものだと、MIERUCA が提供している無料ツール「サイト全体のメイントピック抽出・競合比較ツール」がある。
上図では、Reinx では「方法」や「一覧」に関する記事が多く、ライバルブログでは「口コミ」「評判」に焦点をあてているのがわかる。
この調査により、次のような仮説が立てられる。
- ブログ初心者はサービスの評判に関するトピックに興味があるのかもしれない
- 収益化のために口コミや比較記事を追加したほうがよいかもしれない
あとは、その仮説が正しいか、実際に記事を書いて検証していくだけだ。
まったくゼロの状態から手探りでスタートするのに比べたら、はるかに簡単な方法だと思う。
「FREE Keyword & Content Gap Analysis Tool」という海外製ツールもおすすめ。MIERUCA と違い、具体的なキーワードがわかる(STEP 2 でも使える)。
下表は、Reinx と適当にピックアップしたブログ 2 つを比較したもの。
両ライバルブログとも「ブログとは」という超基本的なコンテンツを書いているようだ。
先ほどの仮説に追加しておけば、さらに盤石なものとなる。
- ブログ初心者はサービスの評判に関するトピックに興味があるのかもしれない
- 収益化のために口コミや比較記事を追加したほうがよいかもしれない
- 「ブログとは」というコンテンツを追加すると全体の評価がプラスになるかもしれない
どうせ真似するなら、キーワード単位で上位サイトを模倣するのではなく、ライバルブログ全体を様々な角度から分析してみよう。
キーワード選定時の注意点
以上解説してきた「あなたのブログと同じジャンル・同じレベルのブログが検索上位に入っているキーワードをそのまま使う」という手法は、注意点がいくつかある。
- そのジャンル・トピックについて詳しくないと勝てない
- あなたのブログも同じように調査されている
- 検索順位は安定しない
01. そのジャンル・トピックについて詳しくないと勝てない
キーワードを見つけること自体はだれでも簡単にできるが、そのキーワードをもとにどんな記事を書くかはあなた次第。
前述のとおり、まったく興味のない不得手なジャンル・トピックを狙ったところで、内容の薄いありきたりなコンテンツにしかならないから、検索上位に入るのはまず無理だ。
AI に書かせたほうがマシ、というレベルなら、そのジャンルは参入しないほうがよい。
ネットで調べたことをまとめただけの内容で検索上位に入れたのは、昔の話である。ドメインパワーだけでタコ殴りにできた時代も終わった。
キーワード選定で手を抜くにしても、記事執筆で手を抜いてはいけない。
02. あなたのブログも同じように調査されている
ライバルブログがどんなキーワードを狙っていて、どの位置にいるのか、という調査はメジャーな手法だ。
あなたのブログも、当然のようにだれかにチェックされている。
だから、安易に Twitter で Search Console や ASP のキャプチャを公開するのはやめたほうがよいと思う。承認欲求は満たされても、キーワードを抜かれて順位を落とされるから。
あなたのブログが上位に入るということは、ライバルブログが順位を落とすということ。逆もまたしかりで、わざわざ手の内を見せることはない。
初心者のブログなんてわざわざチェックしないだろう……という考えは捨てよう。
なお、Ahrefs や Semrush など月額数万円するツールを使うと、さらに詳細なデータを入手できる。内部被リンクから利用している ASP まですべてチェックされていると思っておいたほうがよい。
03. 検索順位は安定しない
初心者でも検索上位に入りやすいキーワードは、言い換えるなら「順位変動しやすいキーワード」だ。
がんばって記事を書いて上位につけても、だれかが同じところを狙って全力で戦いを挑んでくる可能性が高い。
だから、他のブログが上位に入っているキーワードだけ狙い続けると、検索順位が安定せず、ある日を境に PV 数が急落することもある。
少しずつ検索上位に入れるようになってきたら、キーワードではなく検索ユーザーに目を向け、あなただけにしか書けないコンテンツを提供していこう。