本記事では、Google AdSense から以下のようなメールが届いた場合の対処法を解説している。
| 発信元メールアドレス | adsense-noreply@google.com |
|---|---|
| 件名 | お客様の AdSense アカウントでの広告配信を制限しました |
| 本文冒頭 | 先日、お客様の AdSense アカウントで無効なトラフィックが検出されました。Google ではこの事態を受け、お客様のアカウントでの広告配信を制限いたしました。今後もお客様のサイトのトラフィックは継続的にモニタリングされ、配信制限は Google 側で自動的に見直しおよび更新されます。 |
残念ながら、すぐに広告配信を再開させる手段はない。無効なトラフィックが継続しないよう改善に努め、Google AdSense 側の再開を待とう。
2023 年 6 月 25 日以降、世界中で広告配信が制限されたアカウントが増えました。
7 月 6 日以降、徐々に制限が解除されていますが、再び配信が制限されないようブログ全体を見直しておきましょう。
専門家の意見が必要な場合は、「Google AdSense ヘルプコミュニティ」のご利用をおすすめします。
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目次
無効なトラフィックとは
無効なトラフィックに関して、Google AdSense では以下のとおり説明されている。
無効なトラフィックとは、広告主様の費用やサイト運営者様の収益を作為的に増やす可能性のあるクリックやインプレッションのことです。無効なトラフィックには、意図的な不正トラフィックや偶発的クリックが含まれます。
無効なトラフィックの例は次のとおりです。
無効なトラフィックの定義 – Google AdSense ヘルプ
- サイト運営者様が、ご自身のライブ広告をクリックしてクリック数やインプレッション数を増やすこと
- 1 人以上のユーザーが繰り返しクリックして、クリック数やインプレッション数を増やすこと
- サイト運営者様がご自身の広告でのクリックを誘導すること（例: 広告をクリックするようユーザーを誘導するあらゆる言葉、大量の偶発的クリックを誘発する広告掲載など）
- 自動クリックツールやトラフィック ソース、ロボット、その他の不正な行為を行うソフトウェア
広告クリックだけではなく、インプレッション（広告表示）も含まれている点を覚えておこう。
つまり、同じ人が何度もページを更新し、広告を表示するだけでも対象となる可能性があるということ。これにはブログ運営者自身も含まれる。
AdSense からメールが届いたらポリシーセンターを確認する
Google AdSense が無効なトラフィックを検知して広告配信を停止すると、AdSense ユーザー（ブログ運営者）に「お客様の AdSense アカウントでの広告配信を制限しました」という件名のメールが送られる。
メールが届いたら、すぐ Google AdSense 管理画面にログインしよう。
左メニューから「ポリシーセンター」に入り、「 現在、広告配信が制限されています」と表示されていたら、残念ながら広告配信が止まっている状態だ。
「お客様のアカウントでの広告配信は、無効なトラフィックの問題により現在制限されています。」または「商品の広告配信は、無効なトラフィックの問題により現在制限されています。」という状況からすぐに復旧させる手段はない。
記載されている対応策をもとにブログを改善して、Google AdSense 側の対応を待とう。対処法を詳しく解説していく。
ポリシーセンターに何も表示されていなければ、Google の誤検知か、すでにポリシー違反が解消された可能性があります。この場合はとくに対策する必要はありません。
広告配信制限への対処法
最初に、Google AdSense を利用するうえでやってはいけないことを把握しておこう。以下の記事で詳しく解説している。
Google AdSense NG集｜絶対に覚えておきたい規約違反事項一覧
ここからは、無効なトラフィックが原因で広告配信停止になった場合に的を絞り、対処法を解説していく。
01. 自分で広告をクリック・表示しない
自分で広告をクリックする行為は厳禁であり、故意に何度も行っていると広告配信停止どころかアカウント停止に至る。
誤って 1 ～ 2 回クリックしてしまった、ぐらいであればとくに問題はなく、報告する必要もない。AdSense ヘルプに記載されているとおりだ。
パブリッシャー様がご自身の広告を故意にクリックすることは許可されませんが、誤ってクリックするケースは十分に考えられます。このような場合に Google まで特別にご連絡いただく必要はありません。
無効なトラフィックに関するよくある質問 – Google AdSense ヘルプ
インプレッション（広告表示）に関しても、常識的な範囲内で自分のブログを見るのは問題ない。いたずらに何度もページを更新して広告を表示しているのでなければ大丈夫。
ご自身のウェブページを表示するだけで、良好なアカウントの状態が損なわれることはありません。ただし、広告をクリックしたりページの再読み込みを過度に繰り返したりすることは避けてください。
無効なトラフィックに関するよくある質問 – Google AdSense ヘルプ
WordPress の場合、記事を書くときに何度もプレビュー画面でチェックしていると、それが引っかかってしまう可能性がある。
以下のいずれかの対策をとっておくとよいだろう。
- WordPress にログインしているユーザーには広告を表示させない
- プレビュー画面で AdSense 広告を表示しないようにする
- 広告ブロック機能（ブラウザ拡張機能やアプリ）を使用する
広告ブロック機能を使うのが最も簡単でおすすめだ。広告の誤クリックも避けられる。
02. 他人にクリックを依頼しない
同じ人が短期間で何度も広告をクリックまたは表示していると、無効なトラフィックとみなされる可能性が高い。
家族や友人に広告のクリックを依頼するのは絶対にやめよう。
また、SNS やコミュニティ内でクリックを依頼するのも厳禁だ。そのやりとりが Google に知られないとしても、同じ人が広告をクリックしているかは簡単に判別されてしまう。
03. 応援クリックをやめてもらう
自分では依頼していなくても、SNS で知り合ったブログ仲間がよかれと思って広告をクリックするケースがある。「応援クリック」と呼ばれるものだ。
それが善意であったとしても、広告そのものに興味がないユーザーのクリックは AdSense のポリシー違反となる。
Google 広告のクリックはユーザーの純粋な興味のもとで行われる必要があり、AdSense プログラム ポリシーでは、クリック数やインプレッション数を作為的に増やすいかなる行為も固く禁止されています。
無効なトラフィックの定義 – Google AdSense ヘルプ
もし応援クリックを確認できたなら、やめてもらうよう伝えたほうがよい。
お金を払っているのは広告主であり、AdSense ユーザーのために広告が存在しているわけではない、という点を忘れないようにしよう。
04. SNS での宣伝を控える
ブログの PV 数や SNS でのフォロワー数が少ないうちに過度に宣伝すると、無効なトラフィックが発生しやすい。
以下のツイートで解説したとおり、全体の割合に対して特定のユーザーのアクセスが目立つためだ。
「無効なトラフィック」例
— 瀬尾＠Reinx 🆓 (@ReinxWeb) June 27, 2023
毎日のアクセス数が10PV
↓
うち1PVは同じ人がTwitterなどからアクセス
↓
その人が（応援の意味を込めて）数日おきに広告クリック
こんな状況だと無効なトラフィックとみなされる可能性があります。
（続く）
極端な話、「自分と SNS フォロワー 1 名のみ」が毎日ブログを見ているような状況だと、確実に無効なトラフィックとみなされるだろう。
仲の良いブロガー同士でお互いのブログにアクセスするのは、モチベーションを保つのに有効だと思う。しかし、Google AdSense や広告主にとって、それが良い状況とはかぎらない。
検索サイトからの流入を伸ばし、純粋に広告に興味を示す新規ユーザーを集めていこう。
X(Twitter) でブログの URL や運営状況を公開するメリット・デメリット
05. 被リンク企画への参加・自作自演リンクをやめる
SNS やブログコミュニティで、「被リンク企画」が頻繁に行われている。
ブログの宣伝をするのは悪いことではないが、被リンク企画の内容によっては Google ウェブ検索のスパムに関するポリシーに抵触する可能性が高い。
Google 検索の検索結果ランキングを操作することを目的としたリンクは、リンクスパムと見なされる場合があります。これには、自分のサイトへのリンクを操作する行為も、自分のサイトからのリンクを操作する行為も含まれます。
Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル
その企画がリンクスパムに該当しないか、きちんと調べてから参加しよう。
検索ポリシーに反していなくても、その企画を通して特定のユーザーのみがブログにアクセスしているような状態であれば、無効なトラフィックとなる。「ターゲットユーザーの誘導につながらないトラフィックソース」とみなされることもあるだろう。
また、いわゆる「自作自演リンク」もスパムとみなされる可能性がある。検索順位を上げるためだけの目的でペラサイトや無料ブログを作ったり、ランキングサイトに登録するのはやめたほうがよい。
以下の記事で詳しく解説している。
ブログの被リンクを増やす方法とペナルティリスクのあるNG施策
06. AdSense 広告の配置を見直す
誤クリックしやすいところに広告を表示していないか、配置も見直しておこう。
よく見られるのは、以下のとおりドロップダウンメニューが広告と重なる配置だ。
また、ページの表示速度が極端に遅いため、スクロール中に広告が表示されて意図せずクリックしてしまう、というケースもある。
広告位置と共に見直しておくとよい。
アドセンス狩りへの対策
無効なトラフィックへの対処法を解説してきたが、最も心配なのは「アドセンス狩り」かもしれない。
アドセンス狩りとは、悪意をもったユーザーが AdSense 広告を故意に何度もクリックする行為のことだ。
悪意のある相手に対して完全な防御策はないが、少しでも減らす対策をしておこう。
01. 過度な収益アピールをしない
アドセンス狩りの目的は本人にしかわからないが、妬みが原因の嫌がらせがほとんどだと思う。
Twitter などでブログの収益状況を過度にアピールしていると、狙われる可能性が高くなる。Google AdSense 合格ツイートも、妬みを買う原因となるかもしれない。
喜びを共有したくなる気持ちはわかるが、オープンな場での発言には気をつけよう。
攻撃してくる相手が 100 ％ 悪いとしても、それが AdSense 広告配信停止につながるなら自己防衛も必要だ。残念ながら全員が善人とはかぎらない。
02. アクセス解析を導入する
Google アナリティクスを導入しているかもしれないが、アドセンス狩り対策を考えるなら、訪問者の IP とアクセス状況をもっと簡単に分析できるツールも用意しておくとよい。
WordPress なら、プラグイン「WP Statistics」がおすすめだ。
以下のとおり、IP アドレスやページ表示回数を簡単にチェックできる。
あやしいと思えるアクセスがあったら、Google AdSense 管理画面のレポートと照らし合わせ、クリック数や表示回数が急激に増えていないかチェックするとよい。
明らかにアドセンス狩りと判断できる場合、Google AdSense の「無効なクリックの連絡フォーム」から報告しておこう。
03. アドセンス狩り対策プラグインを導入する
WordPress であれば、「Ad Invalid Click Protector」というアドセンス狩り対策用のプラグインを導入するのも手だ。
ただし、多くのサイトで推奨されているわりにはほとんど効果がないので注意してほしい。
導入するにあたって、以下の点だけおさえておこう。
- プラグインをインストールしただけでは効果がない
- 広告コードを
<div class="aicp">で囲まないと機能しない - AdSense 自動広告には適用されない
- スマホやタブレットユーザーには何の効果もない
スマホに効果がない点については、WordPress 公式ディレクトリのページでも冒頭で説明されている。
Important Note About Touch Screen Support: This plugin doesn’t work on mobile devices such as smartphones and tablets, because this hardware uses a touchscreen instead of a mouse as click input. This design makes the boundary monitoring trick ineffective.
タッチスクリーンのサポートに関する重要な注意：このプラグインは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでは動作しません。このハードウェアはクリック入力としてマウスの代わりにタッチスクリーンを使用するからです。この設計のため、境界監視のトリックは効果がありません（訳：Reinx）。
日本では 7 ～ 8 割がスマホユーザーだ。きちんと設定したとしても、効果を発揮するのは 1 ～ 2 割のアクセスに対してのみとなる。
導入しないよりはマシかもしれないが、導入すれば安心というわけでもない。気休め程度で考えておこう。
広告配信停止後にやってはいけないこと
無効なトラフィックが原因で広告配信が停止された場合、問題ないと判断されれば 30 日以内に広告配信が再開される。
ただし、広告配信停止直後に AdSense 広告コードをすべて削除すると、その判断ができなくなってしまう。
収益減少を避けるため、あわてて ASP の広告などに置き換えて AdSense コードを全撤去しないよう注意してほしい。
これを機会に Google AdSense の利用をやめるならよいが、その場合は再開するときに改めてサイト審査が必要となるので覚えておこう。
広告配信制限に関する Q&A
広告配信の制限期間はどのくらい？
「お客様の AdSense アカウントでの広告配信を制限しました」の件名で届くメールに記載されているとおり、30 日が一応の目安となる。
通常、この広告配信の制限がお客様に影響を与える期間は 30 日未満ですが、それ以上となる場合もあります。
過去の事例では、1 週間ほどで配信が再開されたケースもあれば、再開後すぐ停止されたケースもあり、サイトの状況次第。
AdSense コミュニティから広告配信制限の解除を依頼できる？
AdSense コミュニティに Google 社員は関わっておらず、第三者が善意に回答しているものなので、残念ながら解除の依頼はできない。
なお、安定して月間 30 万 PV 以上のアクセス数があるなら、Google に直接問い合わせることができる。それ以下の場合は自分で解決策を見つけるしかない。
まとめ
広告配信停止期間は、ブログを改善することに努めよう。本記事で紹介した対策をまとめておく。
無効なトラフィックは、アドセンス狩りだけが原因でないことも覚えておこう。
Google AdSense による収益化を考えているなら、裏技で攻略しようとせず、正攻法でいくのが一番だ。
Google AdSense の収益を伸ばす具体的なノウハウはこちら
記事執筆：瀬尾 真
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